「仏の顔も三度まで」ということわざ。
優しい人でも、同じことを繰り返されると心がすり減り、つい怒ってしまうものです。
きっと皆さんも、家族とのやり取りの中で「私ばかり我慢してる」と感じたことが、一度や二度ではないのではないでしょうか。
仏さまは無限の慈悲の心をお持ちですが、私たちは人間。心には限りがあります。
「仏の顔も三度まで」という言葉は、「相手の優しさを当然と思わず、感謝を忘れないように」という戒めなのです。
例えば、夫婦の間で「ありがとう」と言うこと、子どもに「ごめんね」と素直に伝えること。
その小さな言葉が、関係を優しく保つ力になります。
お店に立っていると、お仏壇や仏具のことで何度も相談に来られる方がいます。
「これでいいのかな?」と迷うのは、ご先祖さまを思う気持ちがあるからこそ。
一方で、「また今度でいいや」と後回しを繰り返すと、いざという時に後悔してしまう方も少なくありません。
優しさや供養の心も、思い立った時に行動に移すことが大切だと感じます。
「仏の顔も三度まで」という言葉は、怒りの限界を示すだけでなく、
「人の優しさに甘えすぎないこと」「感謝を言葉や行動で伝えること」を思い出させてくれます。
家族や仏さま、ご先祖さまとのつながりを、言葉や形にして丁寧に残していくこと。
それが、毎日の暮らしをもっと穏やかで温かいものにしてくれるのだと思います。